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馬の文献:管骨骨折(Watt et al. 1998)

「六頭の馬の第三中手骨における背側皮質骨の不完全正軸性斜骨折」
Watt BC, Foerner JJ, Haines GR. Incomplete oblique sagittal fractures of the dorsal cortex of the third metacarpal bone in six horses. Vet Surg. 1998; 27(4): 337-341.

この症例論文では、馬の第三中手骨(Third metacarpal bone)の背側皮質骨(Dorsal cortex)における、不完全正軸性斜骨折(Incomplete oblique sagittal fracture)に対する外科的療法の治療効果を評価するため、1985~1996年にかけて第三中手骨背側皮質骨の不完全正軸性斜骨折を呈した六頭の患馬における、医療記録(Medical records)の回顧的解析(Retrospective analysis)が行われました。

この研究では、六頭の患馬のうち、三頭には螺子固定術(Lag screw fixation)、残りの三頭にはドリル穿孔による骨穿刺術(Osteostixis)が応用されました。結果としては、外科的療法を受けた六頭のうち全頭が競走復帰を果たし、手術後の平均休養期間は33週間であったことが示されました。しかし、螺子固定術が選択された三頭の症例では、挿入された螺子に起因すると考えられる疼痛や慢性跛行(Chronic lameness)が見られ、また、この三頭のうち一頭では、骨折再発(Fracture recurrence)が認められました。このため、馬の管骨背側皮質骨における不完全正軸性斜骨折に対しては、螺子固定術よりも骨穿刺術が推奨されることが示唆されました。このタイプの管骨骨折において、骨穿刺術が治癒促進(Healing enhancement)をもたらす機序としては、骨髄から骨芽細胞(Osteoblasts)や成長因子(Growth factor)が骨折部位に供給されること、および、骨髄から増殖してきた海綿骨(Cancellous bone)によって骨折部が安定化(Immobilization)されること、の二つが挙げられています。

この研究では、六頭の患馬のうち全頭において、レントゲン検査による不完全正軸性斜骨折の確定診断(Definitive diagnosis)が下されました。この際には、側方撮影像(Latero-medial view)や背掌方撮影像(Dorso-palmar view)では骨折線が不明瞭な場合が多く、背内掌外方撮影像(Dorsomedial-to-palmarlateral view)によって、最も信頼性の高い診断が下されたことが報告されています。

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