馬の文献:管骨骨折(Riggs et al. 1999b)
文献 - 2016年04月04日 (月)
「馬の第三中手骨および第三中足骨の遠位顆状突起における病理学的評価」
Riggs CM, Whitehouse GH, Boyde A. Pathology of the distal condyles of the third metacarpal and third metatarsal bones of the horse. Equine Vet J. 1999; 31(2): 140-148.
この研究論文では、馬の第三中手骨および第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)の発症機序を解明するため、管骨顆状突起骨折を呈した19頭の馬から採取した骨組織の、病理学的評価(Pathological evaluation)が行われました。
結果としては、管骨顆状突起の関節軟骨(Articular cartilage)および軟骨下骨(Subchondral bone)に見られた骨折線は、傍矢状隆起(Para-sagittal ridge)の箇所に発生しており、この部位は、軟骨下骨に認められた骨密化パターン(Bone densification pattern)および顕著な限局性再構築(Intense focal remodeling)の領域に隣接していました。これは、矢状隆起の周辺部に起こった骨軟骨欠損(Osteochondral defect)が、管骨の顆状突起骨折の発症に関与している可能性を示しており、管骨顆状突起骨折を“外傷性”の離断性骨軟骨炎(Traumatic OCD)に分類するという病因論(Etiology)が提起されています。
この研究では、急性の骨折検体が用いられたのにも関わらず、関節軟骨部位に生じたV字状の骨折線において、破骨細胞性の骨吸収小窩(Osteoclastic resorption lacunae)が既に形成されていました。これは、この“骨折線”における欠損箇所が、骨折が起こった時点よりも前に生じていたことを強く示唆しており、骨軟骨症(Osteochondrosis)が管骨顆状突起骨折の原発疾患(Primary disorder)である可能性を示す根拠である、という考察がなされています。
この研究では、限局性の骨再構築像の隣接する部位に、管骨顆状突起骨折の骨折線が生じており、このような異等方性構造的(Anisotropic structure)の所見は、同筆者の他の報告や(Riggs et al. EVJ. 1999;31:130)、他の文献の知見とも合致していました(Boyde et al. EVJ. 1999;31:122)。つまり、運動負荷に起因して顆状突起の骨硬化症(Sclerosis)が起こり、高密度と低密度の骨組織が並列(Juxtaposed high and low density bone tissues)する傍矢状隆起の箇所に、重度のストレス集中(Stress concentration)が生じて、顆状突起骨折に至るという仮説がなされています。
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Riggs CM, Whitehouse GH, Boyde A. Pathology of the distal condyles of the third metacarpal and third metatarsal bones of the horse. Equine Vet J. 1999; 31(2): 140-148.
この研究論文では、馬の第三中手骨および第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)の発症機序を解明するため、管骨顆状突起骨折を呈した19頭の馬から採取した骨組織の、病理学的評価(Pathological evaluation)が行われました。
結果としては、管骨顆状突起の関節軟骨(Articular cartilage)および軟骨下骨(Subchondral bone)に見られた骨折線は、傍矢状隆起(Para-sagittal ridge)の箇所に発生しており、この部位は、軟骨下骨に認められた骨密化パターン(Bone densification pattern)および顕著な限局性再構築(Intense focal remodeling)の領域に隣接していました。これは、矢状隆起の周辺部に起こった骨軟骨欠損(Osteochondral defect)が、管骨の顆状突起骨折の発症に関与している可能性を示しており、管骨顆状突起骨折を“外傷性”の離断性骨軟骨炎(Traumatic OCD)に分類するという病因論(Etiology)が提起されています。
この研究では、急性の骨折検体が用いられたのにも関わらず、関節軟骨部位に生じたV字状の骨折線において、破骨細胞性の骨吸収小窩(Osteoclastic resorption lacunae)が既に形成されていました。これは、この“骨折線”における欠損箇所が、骨折が起こった時点よりも前に生じていたことを強く示唆しており、骨軟骨症(Osteochondrosis)が管骨顆状突起骨折の原発疾患(Primary disorder)である可能性を示す根拠である、という考察がなされています。
この研究では、限局性の骨再構築像の隣接する部位に、管骨顆状突起骨折の骨折線が生じており、このような異等方性構造的(Anisotropic structure)の所見は、同筆者の他の報告や(Riggs et al. EVJ. 1999;31:130)、他の文献の知見とも合致していました(Boyde et al. EVJ. 1999;31:122)。つまり、運動負荷に起因して顆状突起の骨硬化症(Sclerosis)が起こり、高密度と低密度の骨組織が並列(Juxtaposed high and low density bone tissues)する傍矢状隆起の箇所に、重度のストレス集中(Stress concentration)が生じて、顆状突起骨折に至るという仮説がなされています。
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