馬の文献:管骨骨折(Zekas et al. 1999a)
文献 - 2016年04月06日 (水)
「ケンタッキー州の135頭の馬における第三中手骨または第三中足骨の顆状突起骨折の種類および発症箇所の特徴」
Zekas LJ, Bramlage LR, Embertson RM, Hance SR. Characterisation of the type and location of fractures of the third metacarpal/metatarsal condyles in 135 horses in central Kentucky (1986-1994). Equine Vet J. 1999; 31(4): 304-308.
この研究論文では、サラブレッド競走馬の第三中手骨または第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)における顆状突起骨折(Condylar fracture)の病態把握のため、1986~1994年にかけて管骨顆状突起骨折を呈した135頭の患馬(145箇所の骨折)の、医療記録(Medical records)およびレントゲン像の解析が行われました。
この研究では、前肢の骨折が81%(117/145骨折)を占め、このうち、右前肢(53%)のほうが左前肢(47%)よりも発症率が高い傾向にありました。一方、骨折の発生箇所を見ると、外側顆状突起の骨折が85%を占め、また、顆状突起の中央部における骨折が59%を占めていました。さらに、骨折線の長さは、外側顆状突起の骨折(平均69mm)のほうが、内側顆状突起の骨折(平均106mm)よりも、短い傾向にありました。この研究における外側顆状突起骨折の割合(85%)は、英国からの他の文献(Ellis et al. EVJ. 1994;26:178)における外側顆状突起骨折の割合(67%)よりも高い傾向にあり、この原因としては、米国と英国におけるレース馬場の違い(芝 v.s. ダート)や、調教時の走行馬場の違い(カーブ v.s. 直線)などが関与すると考察されています。
この研究では、管骨顆状突起骨折の病態としては、不完全非変位性骨折(Incomplete non-displaced fracture)が37%と最も多く、次いで、完全変位性骨折(Complete displaced fracture)が32%、完全非変位性骨折(Complete non-displaced fracture)が30%となっていました。また、145箇所の管骨顆状突起骨折のうち、15%(22/145骨折)において関節面の破片化(Articular fragmentation)が認められ、このうち九割以上(20/22破片)が顆状突起中央部の骨折に伴って発生しており(他の二破片は軸性骨折:Axial fracture)、その殆ど(21/22破片)が完全骨折に伴って発生していました。
この研究では、管骨顆状突起骨折に伴って認められた異常所見としては、基節骨(Proximal phalanx)の破片骨折(Chip fracture)が13頭、種子骨炎(Sesamoiditis)が7頭、繋靭帯炎(Suspensory desmitis)が5頭、管骨瘤(“Splints”)が4頭、軸性種子骨骨折(Axial sesamoid bone fracture)が3頭、などとなっていました。これらの骨折以外の病態の有無と、その予後との関係は、この論文内では解析&考察されていません。
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この研究論文では、サラブレッド競走馬の第三中手骨または第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)における顆状突起骨折(Condylar fracture)の病態把握のため、1986~1994年にかけて管骨顆状突起骨折を呈した135頭の患馬(145箇所の骨折)の、医療記録(Medical records)およびレントゲン像の解析が行われました。
この研究では、前肢の骨折が81%(117/145骨折)を占め、このうち、右前肢(53%)のほうが左前肢(47%)よりも発症率が高い傾向にありました。一方、骨折の発生箇所を見ると、外側顆状突起の骨折が85%を占め、また、顆状突起の中央部における骨折が59%を占めていました。さらに、骨折線の長さは、外側顆状突起の骨折(平均69mm)のほうが、内側顆状突起の骨折(平均106mm)よりも、短い傾向にありました。この研究における外側顆状突起骨折の割合(85%)は、英国からの他の文献(Ellis et al. EVJ. 1994;26:178)における外側顆状突起骨折の割合(67%)よりも高い傾向にあり、この原因としては、米国と英国におけるレース馬場の違い(芝 v.s. ダート)や、調教時の走行馬場の違い(カーブ v.s. 直線)などが関与すると考察されています。
この研究では、管骨顆状突起骨折の病態としては、不完全非変位性骨折(Incomplete non-displaced fracture)が37%と最も多く、次いで、完全変位性骨折(Complete displaced fracture)が32%、完全非変位性骨折(Complete non-displaced fracture)が30%となっていました。また、145箇所の管骨顆状突起骨折のうち、15%(22/145骨折)において関節面の破片化(Articular fragmentation)が認められ、このうち九割以上(20/22破片)が顆状突起中央部の骨折に伴って発生しており(他の二破片は軸性骨折:Axial fracture)、その殆ど(21/22破片)が完全骨折に伴って発生していました。
この研究では、管骨顆状突起骨折に伴って認められた異常所見としては、基節骨(Proximal phalanx)の破片骨折(Chip fracture)が13頭、種子骨炎(Sesamoiditis)が7頭、繋靭帯炎(Suspensory desmitis)が5頭、管骨瘤(“Splints”)が4頭、軸性種子骨骨折(Axial sesamoid bone fracture)が3頭、などとなっていました。これらの骨折以外の病態の有無と、その予後との関係は、この論文内では解析&考察されていません。
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