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馬の文献:管骨骨折(Hill et al. 2004)

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「サラブレッド競走馬の前肢における管骨外側顆状突起骨折および繋靭帯合同装置損失の発症に対する繋靭帯損傷、運動法、装蹄法の影響」
Hill AE, Gardner IA, Carpenter TE, Stover SM. Effects of injury to the suspensory apparatus, exercise, and horseshoe characteristics on the risk of lateral condylar fracture and suspensory apparatus failure in forelimbs of thoroughbred racehorses. Am J Vet Res. 2004; 65(11): 1508-1517.

この研究論文では、馬の第三中手骨(Third metacarpal bone)の外側顆状突起骨折(Lateral condylar fracture)および繋靭帯合同装置損失(Suspensory apparatus failure)の発症に、繋靭帯損傷(Suspensory ligament injury)および運動法&装蹄法(Exercise/Horseshoe characteristics)が関与しているのか否かを評価するため、301頭のサラブレッド競走馬の屍体前肢(Cadaver forelimbs)の検査、および、それぞれの馬の運動法および装蹄法の調査が行われました。

結果としては、多重ロジスティック回帰解析(Multi-variable logistic regression analysis)の結果から、繋靭帯損傷を発症していた馬では、発症していなかった馬に比べて、管骨外側顆状突起骨折を起こす危険が五倍近くも高く(オッズ比:4.73)、また、繋靭帯合同装置損失を起こす危険も二倍以上高いことが示されました(オッズ比:2.34)。このため、調教中における繋靭帯損傷の早期診断や、休養期間中に繋靭帯損傷のモニタリングを行って、繋靭帯に異常を抱えたサラブレッド競走馬の出走を控えることで、管骨外側顆状突起骨折および繋靭帯合同装置損失を予防できることが示唆されました。生体外実験(In vitro experiment)を用いた他の文献では、繋靭帯の統合性(Integrity of suspensory ligament)が失われることで、管骨顆状突起の緊張度(Bone strain)が増加することが示されており(Le Jeune et al. Vet Surg. 2003;32:585)、今回の研究では、この繋靭帯損傷と顆状突起骨折の因果関係(Causality)を裏付けるデータが示されたと言えます。

この研究では、多重ロジスティック回帰解析の結果から、調教による総走行距離が長いほど、管骨外側顆状突起骨折を発症しやすいことが示され、出走前の二ヶ月における走行距離が一ハロン(200m)長くなるごとに、管骨外側顆状突起骨折を起こす危険が4%増加することが報告されています(一ハロン当たりのオッズ比:1.04)。これは、管骨の顆状突起骨折が、骨のストレスと再構築(Bone stress and remodeling)が徐々に蓄積(Gradual accumulation)していくことで起こる疲労性損傷(Fatigue injury)である、という病因論(Etiology)を裏付けるデータであると考えられます。このため、レース出走前の運動法が、顆状突起骨折の素因(Predisposition)になりうることが示唆される反面、この研究のデータのみから、閾値(Cutoff value)となる一定の走行距離(=何ハロン以上だと骨折を起こし易い、という走行距離)や、骨折予防に十分な休養期間を算出するのは困難である、という考察がなされています。

この研究では、蹄鉄パッド(Shoe pad)を装着いている馬は、装着していない馬に比べて、繋靭帯合同装置損失を起こす危険が、二倍以上も高いことが示されました(オッズ比:2.04)。しかし、蹄鉄パッドを着けること自体が原因なのか、蹄鉄パッドを要するような一次性疾患(Primary disorder)が原因なのかを、この研究のデータのみから特定するのは難しいと考えられました。

この研究では、生涯出走数が二回~五回目の馬では、一回目の馬に比べて、繋靭帯合同装置損失を起こす危険が四倍以上も増加し(オッズ比:4.25)、この危険は五回目以降では認められませんでした。このため、競走参加を始めたばかりの馬では、レース使役の順応(Adaptation)や、調教時期からの疲労回復が不十分で、繋靭帯合同装置の傷害を起こす危険が高いことが示唆されました。

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