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馬の文献:管骨骨折(Stepnik et al. 2004)

「サラブレッド競走馬の第三中手骨または第三中足骨における顆状突起骨折面の走査型電子顕微鏡的検査」
Stepnik MW, Radtke CL, Scollay MC, Oshel PE, Albrecht RM, Santschi EM, Markel MD, Muir P. Scanning electron microscopic examination of third metacarpal/third metatarsal bone failure surfaces in thoroughbred racehorses with condylar fracture. Vet Surg. 2004; 33(1): 2-10.

この研究論文では、馬の第三中手骨および第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)の発症機序(Pathogenic mechanism)を解明するため、致死性骨損傷(Catastrophic bone injury)を呈した12頭のサラブレッド競走馬から採取した管骨における、骨折面の走査型電子顕微鏡的検査(Scanning electron microscopic examination)が行われました。

結果としては、管骨顆状突起骨折の部位の軟骨下骨(Subchondral bone)では、微小亀裂(Micro-cracks)が密集形成(Cluster formation)または分岐的配列(Branching array)をなしており、この所見は、管骨顆状突起骨折における骨幹端および骨幹部位(Meta/Dia-physeal region)や、長骨の骨幹骨折(Mid-diaphyseal fracture)の箇所における電子顕微鏡像とは、明らかに異なっていました。このため、サラブレッド競走馬の管骨顆状突起骨折では、分岐的微小亀裂(Branching micro-cracks)が蓄積(Accumulation)または癒合(Coalescence)して、顆状突起の亀裂を生じることで、顆状突起骨折を引き起こすという病因論(Pathoetiology)が示唆されました。

一般的に、馬の管骨顆状突起骨折では、微細骨折(Micro-fracture)と骨再構築(Bone remodeling)が蓄積することで発症するという、疲労性損傷(Fatigue injury)の病態を呈することが知られており、今回の研究で認められた、軟骨下骨における微小亀裂蓄積は、この病因論を裏付けるデータであると考察されています。

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