馬の文献:管骨骨折(Morgan et al. 2006)
文献 - 2016年04月13日 (水)
「重度の管骨顆状突起骨折を呈したサラブレッド競走馬の球節病態評価におけるレントゲン検査とCT検査の比較」
Morgan JW, Santschi EM, Zekas LJ, Scollay-Ward MC, Markel MD, Radtke CL, Sample SJ, Keuler NS, Muir P. Comparison of radiography and computed tomography to evaluate metacarpo/metatarsophalangeal joint pathology of paired limbs of thoroughbred racehorses with severe condylar fracture. Vet Surg. 2006; 35(7): 611-617.
この研究論文では、馬の第三中手骨および第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)における有用な診断法を評価するため、重度の管骨顆状突起骨折を呈した11頭のサラブレッド競走馬から採取した屍体対肢(Cadaveric paired limbs)に対して、レントゲン検査(Radiography)およびCT検査(Computed tomography)による病態評価が行われました。
結果としては、球節関節面の破片化(Articular comminution)、骨幹部の亀裂(Diaphyseal fissures)、顆状突起の亀裂(Condylar crack)などの探知においては、CT検査は100%の正答率であったのに対して、レントゲン検査は0~64%の正答率にとどまりました。また、外内側種子骨の骨折(Lateral/Medial sesamoid bone fracture)の探知においても、CT検査は100%の正答率であったのに対して、レントゲン検査は71%の正答率にとどまりました。このため、馬の管骨顆状突起骨折の診断に際しては、レントゲン検査にCT検査を併用して、正確に病態を把握したり、高感度に併発症を発見することで、より信頼性の高い術式の検討および予後判定(Prognostication)が可能であることが示唆されました。
この研究では、顆状突起骨折の確認、骨折発症箇所の確認(内側 v.s. 外側顆状突起)、および開放骨折(Open fracture)の有無、顆状突起の硬化症(Condylar sclerosis)の探知などにおいては、CT検査もレントゲン検査も、ともに100%の正答率を示しました。しかし、骨折線の位置(正軸隆起に掛かっているか否か)の特定においては、レントゲン検査は70%の正答率、CT検査でも80%の正答率にとどまりました。このため、馬の管骨顆状突起骨折に対する内固定法において、骨折線の起始部が不明瞭な症例に対しては、球節の関節鏡手術(Fetlock arthroscopy)を併用することが推奨されています。
この研究では、基節骨の掌側&底側骨折(First phalanx palmar/plantar fracture)の探知においては、レントゲン検査は30%の正答率、CT検査でも50%の正答率にしか過ぎませんでした。このため、馬の管骨顆状突起骨折の診療に際しては、基節骨病態の併発は見過ごす危険性があることを考慮する必要があると考察されています。また、基節骨の背側破片骨折片(First phalanx dorsal fragment)の探知においては、レントゲン検査は100%の正答率であったのに対して、CT検査は75%の正答率にとどまりました。この基節骨の背側破片骨折が、CT検査で見逃された理由としては、骨折面がCT像の断面と平行であった事があげられています。
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この研究論文では、馬の第三中手骨および第三中足骨(Third meta-carpal/tarsal bone)の顆状突起骨折(Condylar fracture)における有用な診断法を評価するため、重度の管骨顆状突起骨折を呈した11頭のサラブレッド競走馬から採取した屍体対肢(Cadaveric paired limbs)に対して、レントゲン検査(Radiography)およびCT検査(Computed tomography)による病態評価が行われました。
結果としては、球節関節面の破片化(Articular comminution)、骨幹部の亀裂(Diaphyseal fissures)、顆状突起の亀裂(Condylar crack)などの探知においては、CT検査は100%の正答率であったのに対して、レントゲン検査は0~64%の正答率にとどまりました。また、外内側種子骨の骨折(Lateral/Medial sesamoid bone fracture)の探知においても、CT検査は100%の正答率であったのに対して、レントゲン検査は71%の正答率にとどまりました。このため、馬の管骨顆状突起骨折の診断に際しては、レントゲン検査にCT検査を併用して、正確に病態を把握したり、高感度に併発症を発見することで、より信頼性の高い術式の検討および予後判定(Prognostication)が可能であることが示唆されました。
この研究では、顆状突起骨折の確認、骨折発症箇所の確認(内側 v.s. 外側顆状突起)、および開放骨折(Open fracture)の有無、顆状突起の硬化症(Condylar sclerosis)の探知などにおいては、CT検査もレントゲン検査も、ともに100%の正答率を示しました。しかし、骨折線の位置(正軸隆起に掛かっているか否か)の特定においては、レントゲン検査は70%の正答率、CT検査でも80%の正答率にとどまりました。このため、馬の管骨顆状突起骨折に対する内固定法において、骨折線の起始部が不明瞭な症例に対しては、球節の関節鏡手術(Fetlock arthroscopy)を併用することが推奨されています。
この研究では、基節骨の掌側&底側骨折(First phalanx palmar/plantar fracture)の探知においては、レントゲン検査は30%の正答率、CT検査でも50%の正答率にしか過ぎませんでした。このため、馬の管骨顆状突起骨折の診療に際しては、基節骨病態の併発は見過ごす危険性があることを考慮する必要があると考察されています。また、基節骨の背側破片骨折片(First phalanx dorsal fragment)の探知においては、レントゲン検査は100%の正答率であったのに対して、CT検査は75%の正答率にとどまりました。この基節骨の背側破片骨折が、CT検査で見逃された理由としては、骨折面がCT像の断面と平行であった事があげられています。
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