馬の文献:管骨骨折(Lewis et al. 2010)
文献 - 2016年04月18日 (月)
「馬の第三中手骨における厚みの異なる外側顆状突起骨折モデルに対するAP螺子およびAO皮質骨螺子の圧迫力」
Lewis AJ, Sod GA, Burba DJ, Mitchell CF. Compressive forces achieved in simulated equine third metacarpal bone lateral condylar fractures of varying fragment thickness with Acutrak Plus screw and 4.5 mm AO cortical screws. Vet Surg. 2010; 39(1): 78-82.
この研究論文では、馬の第三中手骨(Third metacarpal bone)の外側顆状突起骨折(Lateral condylar fracture)に対する有用な外科的療法の術式を検討するため、12対の屍体前肢(Cadaver forelimbs)から採取した第三中手骨に、様々な厚さ(8-mm、12-mm、20-mm)の縦軸骨切術(Longitudinal osteotomy)を施し、それを直径6.5mmのAP螺子(ACUTRAK PLUS® screw)、および直径4.5mmのAO皮質骨螺子(AO cortical bone screw)を用いての螺子固定術(Lag screw fixation)によって整復し、この二種類の整復法における骨折片間圧迫(Interfragmentary compression)の測定が行われました。
結果としては、AP螺子はAO螺子に比べて、有意に低い骨折片間圧迫を示しました。そして、厚さが8-mm、12-mm、20-mmの骨折片において、AO螺子に比較した場合のAP螺子の圧迫力は、それぞれ34%、26%、22%となっており、骨折片の厚みが増すほど、AP螺子による骨折片間圧迫が顕著に減退する傾向が見られました。このため、馬の外側顆状突起骨折に対する螺子固定術では、AO螺子を使う術式のほうが、より高い骨折片間圧迫を作用させることができ、良好な骨折治癒につながることが示唆されました。
この研究で使用されたAP螺子は、無頭の漸減不定ピッチ螺子(Headless tapered variable pitch screw)であるため、螺子頭突出(Screw head protrusion)に起因する軟部組織損傷(Soft-tissue irritation)が少なく、また、無頭のため皮質骨表面の傾斜に関係なく常に骨折面に垂直方向(Perpendicular to the fracture plane)へと螺子挿入できる、などの利点があります。また、AO螺子による内固定では、カウンターシンキングができない顆状突起上窩(Epicondylar fossa)の箇所に螺子挿入するときには、骨と螺子頭の接触が不十分で骨折片間圧迫が減退したり、螺子頭が折れて圧迫力が消失する危険があり、この点でもAP螺子を使うメリットはあると考えられています。
Copyright (C) nairegift.com/freephoto/, freedigitalphotos.net/, ashinari.com/ All Rights Reserved.
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.
関連記事:
馬の病気:第三中手骨骨折


Lewis AJ, Sod GA, Burba DJ, Mitchell CF. Compressive forces achieved in simulated equine third metacarpal bone lateral condylar fractures of varying fragment thickness with Acutrak Plus screw and 4.5 mm AO cortical screws. Vet Surg. 2010; 39(1): 78-82.
この研究論文では、馬の第三中手骨(Third metacarpal bone)の外側顆状突起骨折(Lateral condylar fracture)に対する有用な外科的療法の術式を検討するため、12対の屍体前肢(Cadaver forelimbs)から採取した第三中手骨に、様々な厚さ(8-mm、12-mm、20-mm)の縦軸骨切術(Longitudinal osteotomy)を施し、それを直径6.5mmのAP螺子(ACUTRAK PLUS® screw)、および直径4.5mmのAO皮質骨螺子(AO cortical bone screw)を用いての螺子固定術(Lag screw fixation)によって整復し、この二種類の整復法における骨折片間圧迫(Interfragmentary compression)の測定が行われました。
結果としては、AP螺子はAO螺子に比べて、有意に低い骨折片間圧迫を示しました。そして、厚さが8-mm、12-mm、20-mmの骨折片において、AO螺子に比較した場合のAP螺子の圧迫力は、それぞれ34%、26%、22%となっており、骨折片の厚みが増すほど、AP螺子による骨折片間圧迫が顕著に減退する傾向が見られました。このため、馬の外側顆状突起骨折に対する螺子固定術では、AO螺子を使う術式のほうが、より高い骨折片間圧迫を作用させることができ、良好な骨折治癒につながることが示唆されました。
この研究で使用されたAP螺子は、無頭の漸減不定ピッチ螺子(Headless tapered variable pitch screw)であるため、螺子頭突出(Screw head protrusion)に起因する軟部組織損傷(Soft-tissue irritation)が少なく、また、無頭のため皮質骨表面の傾斜に関係なく常に骨折面に垂直方向(Perpendicular to the fracture plane)へと螺子挿入できる、などの利点があります。また、AO螺子による内固定では、カウンターシンキングができない顆状突起上窩(Epicondylar fossa)の箇所に螺子挿入するときには、骨と螺子頭の接触が不十分で骨折片間圧迫が減退したり、螺子頭が折れて圧迫力が消失する危険があり、この点でもAP螺子を使うメリットはあると考えられています。
Copyright (C) nairegift.com/freephoto/, freedigitalphotos.net/, ashinari.com/ All Rights Reserved.
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.
関連記事:
馬の病気:第三中手骨骨折