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馬の文献:尺骨骨折(Clem et al. 1988)

「若齢馬の橈骨と尺骨を連結させることによる影響」
Clem MF, DeBowes RM, Douglass JP, Leipold HW, Chalman JA. The effects of fixation of the ulna to the radius in young foals. Vet Surg. 1988; 17(6): 338-345.

この研究報告では、尺骨骨折(Olecranon fracture)に対するプレート固定術(Plate fixation)において、尺骨と橈骨が連結されることの影響を評価するため、一ヶ月齢、五ヶ月齢、七ヶ月齢の子馬に、それぞれ尺骨尾側面(Caudal ulnar cortex)へのプレート固定、尺骨から橈骨に達する螺子挿入、および、その16週間後のプレート除去を実施し、レントゲン検査(Radiography)によって、この期間中における尺骨異形成(Ulna dysplasia)と肘関節亜脱臼(Elbow joint subluxation)の評価が行われました。

この研究では、橈骨関節面(Radial articular surface)と滑車切痕(Trochlear notch)までの距離が、橈骨骨端の厚さ(Thickness of distal radial epiphysis)に占める割合で、橈骨と尺骨の成長不同一性(Growth disparity)の計測が行われました(下図)。そして、全ての実験馬において、滑車切痕および鉤状突起(Coronoid process)の遠位変位(Distal displacement)に伴う、橈骨と尺骨の関節面の不適合(Incongruity between the radial and ulnar articular surfaces)が示され、橈骨と尺骨の骨性癒合(Osseous union)が認められました。そして、プレート設置から16週間目とプレート除去から16週間目の成長不同一性を比較すると、一ヶ月齢馬郡では62%から82%へ、五ヶ月齢馬郡では37%から52%というように、いずれも悪化していました。このため、尺骨と橈骨が連結されることによって生じた、この二つの骨の成長不同一性は、四ヵ月後にプレート&螺子が除去されても、完全には回復できないことが示唆されました。

一般的に、馬の橈骨近位骨端(Proximal radial physis)は、生後の三ヶ月までにその50%の成長が完了し、残りの50%の成長は生後の18ヶ月まで続くことが知られています(Cambell et al. EVJ. 1981;13:247)。そして、この研究においても、螺子挿入によって橈骨と尺骨が連結されることによる副作用は、患馬の月齢に反比例して減少する傾向が認められました。このため、生後の七ヶ月齢未満の子馬に対しては、尺骨骨折の内固定(Internal fixation)に際して、尺骨から橈骨まで達する螺子の挿入を避けたり、どうしても必要な場合でも、出来るだけ早期に螺子を除去する指針が推奨されています。一方、七ヶ月齢以上の子馬においても、この骨端軟骨が閉鎖する18ヶ月齢までに橈骨と尺骨が連結されると、成長不同一性を生じる危険性はあるものの、尺骨異形成の重篤度は最小限に抑えられるのではないか、という考察がなされています。

この研究では、一ヶ月齢馬と五ヶ月齢馬では、プレート設置から八~十週間目から顕著な跛行(Lameness)を呈し、七ヶ月齢馬は無跛行でしたが、レントゲン像上での関節軟骨の変性(Degenerative changes on articular cartilage)が見られました。また、いずれの馬郡でも、病理学的検査(Pathological examination)において、軟骨糜爛(Cartilage erosion)や軟骨下骨硬化症(Subchondral bone sclerosis)、および肘頭部の短縮化(Olecranon shortening)が認められました。これは、尺骨異形成および肘関節亜脱臼によって、上腕骨が肘頭部に押し付けられるようにして、関節軟骨および軟骨下骨の損傷を生じたためと推測されています。

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