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馬の文献:喉頭片麻痺(Jansson et al. 2000)

「馬の喉頭片麻痺の治療のための喉頭形成術、喉頭形成術と声帯固定術の併用、声帯固定術の体外比較」
Jansson N, Ducharme NG, Hackett RP, Mohammed HO. An in vitro comparison of cordopexy, cordopexy and laryngoplasty, and laryngoplasty for treatment of equine laryngeal hemiplegia. Vet Surg. 2000; 29(4): 326-334.

この研究論文では、馬の喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplegia)に有用な外科的療法を検討するため、二十頭の健常馬から採取した喉頭組織を用いて、喉頭形成術(Laryngoplasty)、声帯固定術(Cordopexy)(=声帯靭帯と甲状軟骨薄膜を縫合結合する手術)、および喉頭形成術と声帯固定術の併用を施し、喉頭内インピーダンス(Translaryngeal impedances)、披裂軟骨(Arytenoid cartilage)の左右角度指数(Right to left angle quotient)、声門断面積(Glottic cross-sectional area)などの評価が行われました。

結果としては、喉頭形成術のみ、または、喉頭形成術と声帯固定術が併用された検体では、声帯固定術のみ、または、対照検体に比べて、最大換気時(At maximal airflow)における喉頭内インピーダンス、および披裂軟骨の左右角度指数が有意に改善していました。また、喉頭形成術のみ、声帯固定術のみ、または、喉頭形成術と声帯固定術が併用された検体では、対照検体に比べて、声門断面積が有意に増加していました。このため、喉頭片麻痺の罹患馬に対する外科的療法では、喉頭形成術と声帯固定術を併用することで、声帯圧潰(Vocal cord collapse)を予防する付加的効能が期待できることが推測されていますが、喉頭形成術による上部気道機能(Upper airway function)の改善効果を、有意に増加するか否かに関しては、実際の臨床症例への応用および治療成績の解析を要すると考えられました。

この研究では、喉頭形成術のみ、または、喉頭形成術と声帯固定術が併用された検体において、披裂軟骨の左右角度指数には有意差が無く、いずれの術式によっても、良好な披裂軟骨外転が達成されたことが示唆されました。しかし、これらの手法に比較して、声帯固定術のみが実施された検体では、最大換気時における十分な披裂軟骨の外転が起きていなかった事が示されており、つまりこのデータは、気流量の高い環境下での喉頭圧潰(Laryngeal collapse)の予防における、披裂軟骨の安定化手順(Arytenoid stabilizing procedure)の重要性を再確認させるものである、という考察がなされています。

この研究では、喉頭形成術と声帯固定術が併用された検体において、披裂軟骨の外転が最大時の80%に及んでいたことが示されました。そして、披裂軟骨筋突起よりも吻側にある水平隆起(Horizontal ridge rostral to the muscular process)と甲状軟骨(Thyroid cartilage)のあいだに糸が通されることで、輪状軟骨の軸側部(Axial part of the cricoid cartilage)に糸が通された場合よりも、声帯&声突起外転(Vocal process and vocal cord adduction)が起こりにくいと推測されています、一方で、このような影響は、通常の喉頭形成術の手法において、糸の設置箇所が外側寄り過ぎる場合に生じる可能性があると考察されています。

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