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新型コロナはどう収束するのか?

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新型コロナウイルス感染症はどのように収束に向かうのでしょうか?

日経ビジネスのコラム(2020年8月7日)によると、過去の伝染病の収束には幾つかのパターンがありますが、完全な根絶を成し遂げたのが「天然痘」です。天然痘はポックスウイルスよって起こり、飛沫感染や接触感染をする点は新型コロナと同じですが、不顕性感染(=無症状感染)というケースが殆どないので、患者を発見・隔離するのが容易であることから、根絶が可能であったと言われています。また、治癒後に免疫抗体ができると二度と罹らなくなり、DNAウイルス(=変異しにくい)なのでワクチン接種による予防効果が高く、ヒトのみに感染するので他の動物が保菌して残存してしまうリスクも無い、などの特性があります。

残念ながら新型コロナは、無症状な感染を起こすことから、感染者を完全に発見・隔離するのは難しく、また、変異しやすいRNAウイルスであったり(=ワクチン接種による感染予防効果が低い?)、免疫抗体が数ヶ月しか持続しなかったり、ヒト以外の動物由来である(と予測されている)、などの点で天然痘とは異なっています。そう考えると、どんなに新型コロナ感染の予防対策を取っても、天然痘のように完全に根絶するのは困難なのかもしれません。実際、“旧型”コロナでもこの傾向は同じで、未だに根絶もワクチン開発も出来ていません。

もうひとつの収束のパターンが、普通の「風邪」と同じように、人類の多くが罹患して免疫を獲得して治るような病気になる、というものです。この場合には、ウイルスが弱毒化していくことで、集団免疫の獲得が進んで収束しやすいと言われています。新型コロナの死亡率は、国や時期によって様々ですが、少なくとも七月以降の日本においては、PCR陽性者が約三万人で死亡者が80人程度ですので、死亡率は0.3%以下であり、インフルエンザ(死亡率0.1%程度)とあまり差がないほど弱毒化しているようにも見えます。事実、厚生労働省のサイトでも、新型コロナは「ウイルス性の風邪の一種です」と明記されています。

このように考えていくと、風邪の一種である新型コロナを、指定感染症にしておくことの是非も議論されており、一部の専門家からは、他の風邪のウイルス(ライノウイルスやアデノウイルス等)と同じように指定感染症から解除したり、インフルエンザと同じ五類感染症までダウングレードするべき、という提案もなされています。そうすれば、軽症患者まで隔離する必要が無くなるので、医療崩壊を防ぐのに寄与したり、経済活動の再開も容易に達成できると考えられています。つまり、これまでのインフルエンザと同じように対策をしていくことが出来る訳です。

一方で、指定感染症の解除やダウングレードすることによるデメリットも考えられます。まず、指定感染症という法的位置づけが無くなると、水際対策が取りにくくなるので、海外から強毒性の新型コロナが入ってきてしまう危険性が危惧されます。また、指定感染症ほどの対策を取らなくなり、感染拡大が目に見えないスピードで進むと、高齢者の死亡者が急増する可能性も否定できません。さらに、新型コロナの感染によって、旧型コロナにはない後遺症が起こる可能性も示唆されているので、長期的な健康被害の懸念もあります。加えて、スウェーデンのような集団免疫政策だと見なされると、海外とのヒトの流通や貿易の再開、オリンピック開催などに悪影響が出てしまうかもしれません。

いずれにしても、新型コロナを指定感染症とする措置は、一年間の期限付きであり、2021年の二月初旬には終了しますので、それまでに、新型コロナの感染力や死亡率を詳細に分析して、どれくらい怖い病気なのかを判断するべきだと思います。正直なところ、新型コロナを「ただの風邪だ」と言い切ってしまうのは、まだ早計なような気がします。しかし、社会的距離政策の弊害は決して小さくありませんので、もし、指定感染症として対処することのメリットとデメリットのバランスが悪いのであれば、適切なタイミングで、インフルエンザと同程度の対策までダウングレードすることも検討するべきだと感じます。

新型コロナを放置するのは乱暴ですが、天然痘のように根絶を目指すのもナンセンスだとすれば、0と100のあいだで、最適なレベルの対策を見定めるしかありません。新型コロナを正しく恐れるためには、思考停止も、過小評価も、事なかれ主義も、楽観思想も、全てが好ましくないのだと思います。

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Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
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