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馬の病気:大腿骨骨折

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大腿骨骨折(Femur fracture)について。

大腿骨の骨折は、転倒や蹴傷などの外傷性に起こるため子馬に好発し、成馬において発症した場合には重度の粉砕骨折(Severe comminuted fracture)を呈し、治療は困難である場合が多いことが報告されています。大腿骨の骨折では、不負重性跛行(Non-weight-bearing lameness)、患部の腫脹(Swelling)、捻髪音の聴取(Crepitation on auscultation)、羅患肢の外転(Affected limb abduction)などの症状を示し、骨折片同士の重なり(Intra-fragmentary overriding)を起こした場合には患肢の短縮化(Limb shortening)が見られ、膝蓋骨上方固定(Patella upward fixation)や股関節脱臼(Hip joint luxation)に似た外観を示す症例もあります。

大腿骨骨折の確定診断(Definitive diagnosis)は、レントゲン検査(Radiography)によって下されますが、大腿骨の近位部のレントゲン撮影には全身麻酔(General anesthesia)を要する場合もあります。子馬においては、骨幹骨折(Diaphyseal fracture)および遠位・近位骨端骨折(Distal/Proximal physeal fracture)などが見られ、近位骨端骨折ではSalter-Harrisタイプ2の病態を呈することが多いという知見が示されています。

大腿骨骨折の治療では、馬房休養(Stall rest)による保存性療法(Conservative therapy)では、患肢の短縮化や外転を起こし、対側肢に重篤な外反症(Valgus deformity)を併発する危険が高いことが知られています。しかし、骨折片変位(Fracture fragment displacement)が僅かである骨端骨折の症例において、患馬の体重が200kg以下であった場合には、保存性療法による治癒も起こりうることが報告されています。外科的治療が選択された場合には、大腿骨の骨幹骨折と遠位骨端骨折ではプレート固定術による整復が行われ、近位骨端骨折では螺子固定術による整復が行われます。また、遠位骨端骨折では、力学的骨端螺子プレート固定術(Dynamic condylar screw plate fixation)の応用も報告されています。

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