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馬の文献:喉嚢真菌症(Lingard et al. 1974)

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「喉嚢真菌症による急性鼻出血を発症した馬の二症例」
Lingard DR, Gosser HS, Monfort TN. Acute epistaxis associated with guttural pouch mycosis in two horses. J Am Vet Med Assoc. 1974; 164(10): 1038-1040.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)による急性鼻出血(Acute epistaxis)を発症した馬の二症例が報告されています。

一頭目の患馬は、六歳齢のサラブレッドの牝馬で、七日間にわたる重度の回帰性鼻出血(Severe recurrent epistaxis)の病歴で来院しましたが、それ以前の六週間にわたって、粘液膿性の鼻汁排出(Mucopulurent nasal discharge)を示していました。来院時には、明瞭な収縮期心雑音(Pronounced systolic murmur)や粘膜蒼白(Paled mucus membrane)が認められ、血液検査ではPCV値低下が示されましたが、患馬の扱いの難しさ(Intractability)のため、内視鏡検査(Endoscopy)は実施できず、三週間にわたる保存性療法(Conservative treatment)のあと退院しました。

しかし患馬は、その三日後には再び鼻出血の病歴で再来院し、レントゲン検査(Radiography)によって喉嚢内の水平液体ライン(Horizontal fluid line)が認められ、輸血(Blood transfusion)と補液療法(Fluid therapy)が試みられましたが、七日後にまたも重篤な鼻出血を呈したため、残念ながら安楽死(Euthanasia)となりました。剖検(Necropsy)では、10cm大の黄色プラーク様真菌病巣(Yellowish plaquelike fungal lesion)が喉嚢内に見つかり、内頚動脈(Internal carotid artery)の侵食が確認されました。

二頭目の患馬は、六歳齢のアメリカン・サドルブレッドの牝馬で、初期病状としての鼻出血の後、抗生物質(Antibiotics)とビタミン剤(Vitamin B12, B-complex, C, K)の投与が行われましたが、五日間後に致死的鼻出血(Fatal epistaxis)を起こして斃死しました。剖検では、内頚動脈部における、2cm大の灰色プラーク様真菌病巣が認められ、動脈壁の破裂(Rupture of arterial wall)によって出血に至ったことが確定診断(Definitive diagnosis)されました。

この研究では、二頭のいずれの症例においても、鼻出血の症状発現、および、全身性の抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)に不応性(Refractory)を示した所見から、喉嚢真菌症の推定診断(Presumptive diagnosis)が下されましたが、例えば一頭目の症例では、初回来院時に内視鏡検査が実施されていれば、より早期の確定診断が可能であったと推測されています。自発性の鼻出血(Spontaneous epistaxis)は、馬の喉嚢真菌症に好発する初期症状で、舎飼い馬(Stabled horses)における晩春~夏季(Late spring to summer)に発症しやすいという知見もあります(Cook. Proc AAEP. 1968:336)。また、抗生物質の投与による常在菌への影響が、真菌増殖(Fungal outgrowth)および喉嚢真菌症の発症に関与した可能性を指摘する文献もあります(Boucher et al. JAVMA. 1964;145:1004, Peterson et al. JAVMA. 1970;157:220)。

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