馬の文献:喉嚢真菌症(Freeman et al. 1980a)
文献 - 2020年09月24日 (木)
「バルーンカテーテルによる内頚動脈遮閉法:喉嚢真菌症による鼻出血の予防手技の評価」
Freeman DE, Donawick WJ. Occlusion of internal carotid artery in the horse by means of a balloon-tipped catheter: evaluation of a method designed to prevent epistaxis caused by guttural pouch mycosis. J Am Vet Med Assoc. 1980; 176(3): 232-235.
この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する鼻出血(Epistaxis)の有用な予防法を検討するため、九頭の実験馬を用いて、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による内頚動脈(Internal carotid artery)の起始部(Origin)の結紮(Ligation)、および、遠位部(Distal region)の遮閉(Occlusion)が施され、このうち四頭は、バルーンカテーテルを入れたままの状態で4~244日目において剖検(Necropsy)され、残りの五頭は、10~14日目にバルーンカテーテルを外してから、その後の1~60日目において剖検されました。
結果としては、バルーンカテーテルを残した四頭、および、外した五頭のいずれにおいても、二つの処置箇所(結紮部と遮閉部)のあいだの内頚動脈は、血栓(Thrombus)に充填されるように遮閉が達成されています。つまり、バルーンカテーテルによる遮閉および結紮された内頚動脈は、遅くとも四日以内には血栓形成によって血流遮断される事が確認され、また、例えバルーンカテーテルが破損した場合でも、少なくとも60日以内においては、血栓分解によって再疎通(Re-canalization)に至ることなく、血流遮断が維持されると予測されました。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、バルーンカテーテルを用いた内頚動脈遮閉法によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)を予防できることが示唆されました。
一般的に、馬の内頚動脈は、後頭動脈(Occipital artery)のすぐ近位側に起始して、喉嚢へと上方に向かって走行していきますが、この二本の動脈はすぐ近くにあるため、見分けが困難な場合も多いことが知られています。このため、動脈内にカテーテルを伸展させていく過程を、喉嚢の内部からの内視鏡で観察することが推奨されています(この論文は、透視画像装置があまり普及していない時代のものです)。また、この二つの動脈が同じ幹から起始している場合(Two arteries originate as a single trunk)には、カテーテルの挿入が難しいケースもありうると考察されています。
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この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する鼻出血(Epistaxis)の有用な予防法を検討するため、九頭の実験馬を用いて、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による内頚動脈(Internal carotid artery)の起始部(Origin)の結紮(Ligation)、および、遠位部(Distal region)の遮閉(Occlusion)が施され、このうち四頭は、バルーンカテーテルを入れたままの状態で4~244日目において剖検(Necropsy)され、残りの五頭は、10~14日目にバルーンカテーテルを外してから、その後の1~60日目において剖検されました。
結果としては、バルーンカテーテルを残した四頭、および、外した五頭のいずれにおいても、二つの処置箇所(結紮部と遮閉部)のあいだの内頚動脈は、血栓(Thrombus)に充填されるように遮閉が達成されています。つまり、バルーンカテーテルによる遮閉および結紮された内頚動脈は、遅くとも四日以内には血栓形成によって血流遮断される事が確認され、また、例えバルーンカテーテルが破損した場合でも、少なくとも60日以内においては、血栓分解によって再疎通(Re-canalization)に至ることなく、血流遮断が維持されると予測されました。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、バルーンカテーテルを用いた内頚動脈遮閉法によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)を予防できることが示唆されました。
一般的に、馬の内頚動脈は、後頭動脈(Occipital artery)のすぐ近位側に起始して、喉嚢へと上方に向かって走行していきますが、この二本の動脈はすぐ近くにあるため、見分けが困難な場合も多いことが知られています。このため、動脈内にカテーテルを伸展させていく過程を、喉嚢の内部からの内視鏡で観察することが推奨されています(この論文は、透視画像装置があまり普及していない時代のものです)。また、この二つの動脈が同じ幹から起始している場合(Two arteries originate as a single trunk)には、カテーテルの挿入が難しいケースもありうると考察されています。
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