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馬の文献:喉嚢真菌症(Greet. 1987)

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「喉嚢真菌症を呈した35頭における治療成績」
Greet TR. Outcome of treatment in 35 cases of guttural pouch mycosis. Equine Vet J. 1987; 19(5): 483-487.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する鼻出血(Epistaxis)の有用な予防法を検討するため、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の診断が下され、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による内頚動脈(Internal carotid artery)の遮閉術(Occlusion)と、抗真菌剤(Antifungal agent: Natamycin)による喉嚢内の洗浄(Lavage)が行われた30頭の患馬、および、抗真菌剤による喉嚢内洗浄のみが行われた5頭の患馬(出血の症状は示していなかった馬)における、医療記録の解析が行われました。

結果としては、動脈遮閉術+抗真菌剤によって治療された30頭の患馬のうち、短期生存率(Short-term survival rate)は83%(25/30頭)で、症状が完全消失(Full recovery)した馬は77%(23/30頭)に上っていました。しかし、症状完治が達成されなかった二頭では、喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplasia)や咽頭片麻痺(Pharyngeal hemiplegia)が残存していました。一方、抗真菌剤による治療のみが行われた5頭では、生存率は40%(2/5頭)に留まり、そのうち一頭は、軽度の嚥下障害(Slight dysphagia)の症状が残存していました。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、バルーンカテーテルによる内頚動脈の遮閉術によって、充分な罹患部位の治癒が期待され、良好な予後を示す馬の割合が、比較的に高いことが示唆されました。

この研究では、抗真菌剤による喉嚢洗浄のみによる内科的治療(Medical treatment)では、その治療効果は限定的であったため(完治率:20%)、動脈遮閉術に抗真菌剤を併用することを推奨する証拠は示されていません。しかし、理論的に言えば、罹患側の喉嚢内を抗真菌剤によって洗浄することで、真菌病巣の退縮を促進したり、治癒期間を短縮する効果が期待できると考えられています。

この研究では、真菌病巣が動脈だけでなく神経組織にも波及していた場合には、喉頭片麻痺や嚥下障害が認められ、これらの神経症状の回復には12~18ヶ月を要した症例もありました。このため、鼻出血に神経症状を併発した喉嚢真菌症では、動脈遮閉術によって原発病巣(Primary lesion)が完治した後にも、神経組織が充分に再生して症状が完全に消失するまでに、極めて長期間かかる場合もあることが示唆されました。

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