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馬の文献:喉嚢真菌症(Davis et al. 1994)

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「喉嚢真菌症に対するイトラコナゾールおよび局所性エニルコナゾールによる治療が成功した馬の一症例」
Davis EW, Legendre AM. Successful treatment of guttural pouch mycosis with itraconazole and topical enilconazole in a horse. J Vet Intern Med. 1994; 8(4): 304-305.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に対するイトラコナゾールの全身投与(Systemic application)、および、エニルコナゾールの局所投与(Local administration)による治療が成功した、馬の一症例が報告されています。

患馬は、十歳齢のクォーターホース去勢馬(Gelding)で、二週間にわたる鼻汁排出(Nasal discharge)の病歴で来院し、内視鏡検査(Endoscopy)において、嚥下障害(Dysphagia)を示す鼻腔内の食物片が認められ、また、喉嚢の内外側隔壁の内側部(Medial aspect of the division between the lateral and medial compartments of the guttural pouch)に粘液様プラーク(Mucoid plaque)が発見されました。そして、このプラークの生検(Biopsy)の結果、アスペルギルス属真菌が分離されたため、喉嚢真菌症とそれに伴う脳神経障害(Cranial neuropathy)の確定診断(Definitive diagnosis)が下されました。

初期治療としては、ミコナゾールを含む生食による喉嚢内の洗浄(Lavage)が、二週間にわたって実施されましたが、真菌病巣には変化は見られず、神経症状(Neurologic signs)は悪化していきました。このため、治療方針が切り替えられ、イトラコナゾールの全身投与と、エニルコナゾールの局所投与(内視鏡を介した病巣への直接塗布)が併用され、三週間にわたる治療の結果、真菌病巣の退縮が見られ、剥がれ落ちたプラークの内視鏡的摘出も実施されました。そして、その後の二週間にわたって、嚥下障害の顕著な改善が起こり、六週間目には真菌病巣の消失と神経症状の完治が達成されたことが報告されています。

このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、抗真菌剤(Anti-fungal agents)の全身性および局所性投与によって、病巣完治が見られる場合もあることが示唆されました。しかし、喉嚢真菌症への内科的療法が合理化(Rationalize)できるのは、今回の症例のように、真菌病巣の浸潤が神経組織に限定されているケースに限られると推定され、動脈組織への侵襲によって致死的出血(Fatal hemorrhage)を続発する危険がある場合(もしくは初診時に既に出血を起こしていた場合)には、積極的な外科的療法によって、罹患脈管の遮閉術(Occlusion of affected vscular structure)を実施することが推奨されています。

一般的に、第三世代トリアゾールであるイトラコナゾールは、高い抗真菌作用を有することが知られており、また、エニルコナゾールの局所投与は、馬の喉嚢真菌症に対しての応用例も報告されています。しかし、いずれも成馬に対する使用は高額な治療費を要するため、経済的に困難であると予測され、今回の研究においても、製薬会社からの多量の薬剤寄付によって、治療選択が可能であった(しかも三週間分の治療薬だけ寄付された)ことが報告されています。

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