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馬の文献:喉嚢真菌症(Speirs et al. 1995)

「馬の喉嚢真菌症に対する治療では特定の抗真菌剤療法は必要か?」
Speirs VC, Harrison IW, van Veenendaal JC, Baumgartner T, Josseck HH, Reutter H. Is specific antifungal therapy necessary for the treatment of guttural pouch mycosis in horses? Equine Vet J. 1995; 27(2): 151-152.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に対する有用な治療法を検討するため、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の診断が下され、内頚動脈&外頚動脈の結紮術(Ligation of internal/external carotid artery)、および、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による動脈遮閉術(Arterial occlusion)が応用された六頭の患馬における、医療記録(Medical records)の回顧的解析(Retrospective analysis)が行われました。

この研究では、六頭の患馬うち三頭では動脈結紮術、残りの三頭では結紮術+遮閉術が行われた結果、全ての患馬において、術後の一週間以内に真菌病巣の減退(Regression of fungal lesion)が起こり始め、一ヶ月~六ヵ月後には、罹患部位の完治(Full resolution)が達成されました。また、嚥下障害(Dysphagia)やホーナー症候群(Honor’s syndrome)などの神経症状(Neurologic signs)も良好な回復を示し、また、術後の三ヶ月目に剖検(Necropsy)された一頭(=治療成績の評価のため寄贈された馬)における動脈造影(Arteriogram)では、血栓形成(Thrombus formation)によって血流の完全遮断(Complete blockage of blood circulation)が達成された事が報告されています。

この研究では、六頭の患馬のいずれにおいても、外科的療法の前後に、特定の抗真菌剤療法(Specific antifungal therapy)は併用されておらず、動脈結紮術および遮閉術によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)が予防されれば、抗真菌剤の全身的または局所的な投与(Systemic/Topical application)は必要ではない、という結論付けがなされています。しかし、今回の研究におけるサンプル数(六頭)は必ずしも多くなく、また、抗真菌剤療法なしでの外科的療法と、抗真菌剤療法と外科的療法の併用という二種類の治療法を、無作為選択(Random selection)するというコホート研究は採用されていないため、各手法の治療効果を客観的に検討する実験デザインにはなっていませんでした。

一般的に、馬の喉嚢真菌症に対する治療では、動脈結紮術および遮閉術に際して、抗真菌剤療法を同時に行う治療指針が選択されている事例がある反面(Jakobs and Fretz. Can Vet J. 1982;23:117, Church et al. EVJ. 1986;18:362, Greet. EVJ. 1987;19:483)、外科的手法で真菌病巣が解決されれば、抗真菌剤による治療を必要とする根拠はない、という知見も示されています(Caron et al. JAVMA. 1987;19:345, Lane. Proc AVCPT. 1980;4:82)。一方で、動物愛護(Animal welfare)の観点から、少なくとも臨床症例への応用に際しては、抗真菌剤療法のみの治療郡を含める(致死的出血の危険を敢えて排除しない指針)、という研究デザインの実施は難しいと予測されます。

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