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馬の文献:喉嚢真菌症(Archer et al. 2012)

「ニュージーランドで六頭の馬に発症した喉嚢真菌症」
Archer RM, Knight CG, Bishop WJ. Guttural pouch mycosis in six horses in New Zealand. N Z Vet J. 2012; 60(3): 203-209.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する致死的出血(Fatal hemorrhage)の有用な予防法を検討するため、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の診断が下され、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による動脈遮閉術(Arterial occlusion)が応用された馬の六症例が報告されています。

この研究では、手術応用のまえに斃死した一頭を除いた、五頭の症例に対して、バルーンカテーテルを用いた内頚動脈(Internal carotid artery)の結紮術(Ligation)および遮閉術が実施されました。この五頭の患馬のうち三頭は、鼻出血(Epistaxis)の再発(Recurrence)を示すことなく、手術から一年以上にわたって生存していましたが(長期生存率:60%)、残りの二頭は、真菌病巣部からの出血のため、手術から八週間以内に斃死したことが報告されています。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、バルーンカテーテルを介した動脈遮閉によって、致死的出血の予防、および、原発病巣の治癒(Primary lesion healing)が期待され、良好な予後を示す馬の割合が比較的に高いことが示唆されました。

この研究では、術後に斃死した一頭では、剖検(Necropsy)において上顎動脈(Maxillary artery)にも真菌病変が浸潤しており、この箇所からの出血が死因となった可能性が示唆されています。このため、喉嚢内の血液貯留(Blood accumulation)のため、術前の内視鏡検査によって正確な罹患部位が特定できない場合には、内頚動脈だけでなく、外頚動脈(External carotid artery)や上顎動脈の血流遮断も併用すべきである事を、再確認するデータが示されたと言えるかもしれません。また、今回の研究の術式では、蛍光透視装置(Fluoroscopy)を持っていない施設での治療であったため、コイル塞栓形成術(Coil embolization)などは選択肢とはなっておらず、術中の血管造影術(Angiogram)は実施されていませんでした。

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