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ブラシ掛けが嫌いな馬

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ブラシ掛けが嫌いな馬に、どう対処すべきかと悩んでいるホースマンもいらっしゃるかもしれません。

馬はブラシ掛けによる皮膚のケアが重要な動物です。馬は他の家畜と異なり、騎乗運動することで発汗をする上、体毛が短い状態で飼養されることが多いという特徴があります。このため、皮膚や体毛を清潔に保つことは、馬の飼養管理にとって大事な一要素であると言えます。しかし、馬によっては、体をブラシ掛けされるのを顕著に嫌がる個体もあり、暴れたり咬み付いたりしてホースマンに危険を生じたり、壁を蹴って馬自身が怪我をしてしまう可能性もあります。そのような馬に対しては、ブラシ掛けを嫌悪する理由を探り、それに応じた対処を取ってあげるのが良いと言われています。

参考資料:
Elizabeth Moyer. Tips for When a Horse Hates Being Groomed. Horse Illustrated, Horse Care, Horse Health, Apr2, 2022.



馬の健康上の問題

馬がブラシ掛けを嫌がる要因として、馬体のどこかに痛みを持っていないかを精査してあげるのが良策です。特に、今まで平気だったのに、急に馬がブラシ掛けを嫌悪した場合には、健康上の可能性がありえます。大事なポイントは、ブラシが接触する箇所に痛みがある場合だけでなく、馬体の他の部位に疼痛を持っている馬でも、ブラシ掛けに対する嫌悪行動を示すことがあるという点です。ですので、獣医師による健康診断や精密検査を受けて、健康上の問題を精査することが推奨されます。

具体的には、ブラシが触れる背部や腰臀部の筋肉痛はもちろん、歯が痛かったり、胃潰瘍で胸ヤケのような鈍痛を感じている場合にも、馬がナーバスになり、ブラシ掛けを嫌がる行動を取ることが知られています。また、馬によっては、細菌性や真菌性の皮膚炎、シラミやダニによる痒み、牝馬の生殖器疾患、末梢の神経痛などのケースでも、ブラシ掛けを嫌悪するようになるとも言われています。



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使用しているブラシの問題

馬の皮膚は非常に敏感であり、馬体のどの箇所をどのように触れることで、不快感や違和感を感じるかにも個体差があります。ですので、ブラシ掛けのときに暴れる馬というのは、単に、肌触りの異なるブラシに変更するだけで解決する場合もあります。ゴム製の固いブラシを好む馬もいれば、プラスチック製の細い毛先のブラシでないと不快に感じる馬もいるかもしれません。ですので、色々な種類のブラシを試用してみて、馬の反応や表情を観察してみるのが良いと思われます。一般的には、一本一本のブラシの線維が長くて柔らかいほうが、嫌がる馬は少ないと言われています。



ブラシの掛け方の問題

馬によっては、ブラシを皮膚に走らせる強さに関しても、好みに多様性があります。軽い力で優しくブラシを動かした方が良いという馬が多い反面、皮膚が敏感な馬では、むしろ少し強めの力でブラシを押し当てながら使ったほうが、くすぐったさを感じないという場合もありえます。一方、私たちがブラシ掛けする時には、頚部→胸部→腹部→臀部という順番で手入れをしていく事が一般的です。しかし、皮膚が敏感な馬では、筋肉の厚い臀部のほうが不快感は少ない可能性もありますので、試しに逆の順序でブラシ掛けしてみるのも一案です。動物行動学的には、いきなり顔の近くを触られることで、自分のパーソナルスペースに侵入されたと感じて、神経質になる馬もいると言われています。



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ブラシ掛けをする場所の問題

馬の性格によっては、手入れを行なう場所を変えるだけで、ブラシ掛けをあまり嫌がらなくなる可能性もあります。馬という動物は、優れた連想学習者(Associative learners)であることが知られており、過去に好ましくない記憶がある場所やシチュエーションでは、極度に不安や不機嫌になるケースもあります。ですので、ブラシ掛けを嫌がる馬では、一般的な手入れ場所(蹄洗場など)ではなく、たとえば、馬房や放牧場、厩舎の通路など、様々な場所でブラシ掛けをしてみて、馬が安心して手入れ作業を受け入れてくれるシチュエーションがないかを探してみるのも良いのかもしれません。



スイートスポットを探してあげる

ブラシ掛けが嫌いな馬に対しては、馬が触られて喜ぶスイートスポットを見つけて、そこを最初に手入れし始めたり、そこを多めにブラシ掛けする、というのも良策です。たとえば、放牧地で馬同士がグルーミングする際には、お互いのキ甲の辺りを触り合うことが知られていますし、そのような行動が、愛情関係を構築するプロセス(Relationship-building process)になると言われています。勿論、そのような触られて喜ぶ部位は、此処の馬によって異なるかもしれません。しかし、スイートスポットを見つけてあげられれば、手入れやブラシ掛けを、馬体の汚れを取るだけの退屈な時間ではなく、馬にとってもエンジョイできる遊戯の時間に変えてあげることが出来る筈です。

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ブラシ掛けを嫌がる馬に関して重要なこと

馬がブラシ掛けを嫌がって暴れたり反抗すれば、気性や性格が悪くなったり、ホースマンとの信頼関係が損なわれて、ついには、競技能力やパフォーマンスの低下にも繋がりかねません。そう考えると、快適なブラシ掛けの環境や方法を工夫してあげる事は、騎乗して馬を調教するのと同じくらい重要ですし、そうすることが、馬に対するホースマンの愛情ではないでしょうか。

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このエントリーのタグ: 飼養管理 動物学 厩舎管理 行動学 皮膚病

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