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馬の跛行検査1:歩様検査

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歩様検査(Visual gait examination)について

跛行診断における歩様検査では、速歩(Trot)が最も有用な歩様として用いられ、助手は速度を一定に保つこと(Constant gait velocity)と、曳き手綱に充分な弛みを持たせて患馬の頭部の動きを妨げないこと(Free head movement)に注意する事が重要です。歩様検査は一般的に、舗装された硬い地面(Paved hard surface)で行われますが、跛行の度合いを硬い地面と砂地などの軟らかい地面とで比較することも重要です。

跛行のグレード法としては、下表の全米馬臨床医協会(American Association of Equine Practitioners: AAEP)による跛行点数化法が最も一般的に用いられています。
グレード0:いかなる状況においても跛行が認められない状態
グレード1:歩様異常に一貫性が無く、跛行の見分けが難しい状態
グレード2:常歩&速歩での直線運動では跛行の見分けが難しいものの、ある状況下(荷重、回転、登坂、硬地)では歩様異常に一貫性がある状態
グレード3:速歩での歩様異常に一貫性があり、いかなる状況下でも跛行が見分けられる状態
グレード4:重度の点頭運動、腸骨挙上、歩幅短縮などを伴い、明らかな跛行が認められる状態
グレード5:運動&安静時に最低限の羅患肢への負重しかできず、明らかな跛行を示す状態、または動くことが不可能な状態

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AAEPグレード法は、常歩と速歩でグレードが異なる場合などに対応できないため、下表の改良型の跛行点数化法が用いられる場合もあります。
グレード0:正常歩様
グレード1:速歩での直線運動時に軽度跛行を示し、僅かな(または一貫性の無い)点頭運動または腸骨挙上が見られる状態
グレード2:一貫性のある(数cm以上に及ぶ)点頭運動または腸骨挙上を伴った、明らかな跛行が見られる状態
グレード3:顕著な(数cm以上に及ぶ)点頭運動または腸骨挙上を伴った跛行が見られる状態で、片側性後肢跛行の場合には斜対前肢の踏着時における点頭運動を示して、同側前肢跛行と混同を起こす状態
グレード4:重篤な点頭運動または腸骨挙上を伴った重度跛行を示す状態で、速歩はまだ出来る状態
グレード5:安静時に患肢への負重を拒否し、速歩時には患肢を持ち上げて運ぶ動作を示す状態

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跛行は古典的に、支柱肢跛行(Supporting lameness)、懸垂肢跛行(Swinging lameness)、混合跛行(Mixed lameness)の三つに分類されます。支柱肢跛行では、患肢負重時の疼痛(Pain on stance phase)、尾側相の短縮(Shortened caudal phase)、硬い地面での跛行悪化(Lameness exacerbation on hard surface)等が見られるのに対して、懸垂肢跛行では、患肢伸展時の疼痛(Pain on swing phase)、頭側相の短縮(Shortened cranial phase)、軟らかい地面での跛行悪化(Lameness exacerbation on soft surface)等が見られることが提唱されています。

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しかし、顕著な支柱肢跛行では頭側相の短縮も起こり(その逆も真)、中程度~重度の懸垂肢跛行では硬い地面での跛行悪化を呈する症例もあることから、支跛、懸跛、混跛という分類を用いるのは適当でないという警鐘も鳴らされています。調馬索運動においては、支柱肢跛行では患肢が内側の場合に跛行悪化が見られますが、懸垂肢跛行では必ずしも患肢が外側の場合に跛行悪化が見られるわけではない事が知られています。また、支跛=遠位側の異常、懸跛=近位肢の異常、という推定診断は不適切であることも提唱されています。

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一般的に、前肢の支柱肢跛行においては、羅患前肢の踏着時の点頭運動(Head nodding on lame forelimb landing)、羅患前肢の踏着時の球節沈下減少(Decreased fetlock drop)、対側前肢の蹄の踏着音の増加(Louder hoof landing sound on the contralateral forelimb)、羅患前肢の蹄弧低下(Low foot arc of the affected forelimb)、羅患前肢の蹄の外弧運動(Winging-In of affected forelimb hoof)(特に手根跛行の場合)などの所見が認められます。

一般的に、後肢の支柱肢跛行においては、羅患後肢の踏着時の腸骨挙上(Pelvic hiking on lame hindlimb landing)、羅患側の寛結節の上下運動幅の増加(Increased tuber coxae movement on the affected side)、羅患後肢の踏着時の球節沈下減少、羅患後肢の蹄弧低下、羅患後肢の蹄の内弧運動(Winging-Out of affected hindlimb hoof:いわゆるStabby gait)(特に飛節跛行の場合)、後駆を健常肢側へドリフトさせる仕草(Hindquarter drifting toward the sound side)、羅患後肢の蹄を健常肢蹄のほぼ真正面に踏着させる仕草(Lame hindlimb plaiting)などの所見が認められます。

Photo courtesy of Adam’s Lameness in Horses, 5th edition. Eds: Stashak TS, 2002, Lippincott Williams & Wilkins (ISBN 0-6830-7981-6), and Diagnosis and Management of Lameness in the Horse. Eds: Ross MW and Dyson SJ, 2003, WB Sounders (ISBN 0-7216-8342-8).


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