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馬の疝痛検査2:胃カテーテル

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馬の疝痛診断における経鼻胃カテーテルの挿入について

疝痛診断における経鼻胃カテーテルの挿入(Passage of nasogastric tube)は、近位部胃腸の除圧(Decompression of proximal gastrointestinal tract)、食道梗塞(Esophageal obstruction)の罹患部同定および遊離、経腸的補液療法(Enteral fluid therapy)の実施などの目的で実施されます。経鼻胃カテーテル挿入は、一般的に胃破裂(Gastric rupture)の続発を予防し、除圧後の疝痛症状の改善度合いを観察して、絞扼性&非絞扼性の小腸疾患(Strangulated/Nonstrangulated small intestinal disorders)の鑑別疾患を行うのに有用です。

このため、腹囲膨満が顕著に認められる症例においては、経鼻胃カテーテルの挿入のほうが、直腸検査(Rectal examination)や超音波検査(Ultrasonography)などの他の診断法より先に実施されることがあります。一方、疝痛症状が軽度で、結腸食滞等の便秘性疾患が疑われる症例では、直腸検査などを先に行なって、胃カテーテルを介しての下剤投与が必要か否かを判断する場合もあります。



経鼻胃カテーテルの挿入手技

経鼻胃カテーテルを鼻孔から挿入する際には、胃カテーテルの弧が腹側に向くようにして、親指で管を内腹側(Ventro-medial direction)へ押し付けながら挿入することで、胃カテーテルが腹鼻道(Ventral nasal meatus)を通過するように努め、尖端が背側へ迷入して外傷性の篩骨出血(Traumatic ethmoid hemorrhage)を生じないように注意することが大切です。食道開口部(Esophageal inlet)は喉頭部において披裂軟骨(Arytenoid cartilage)の背側に位置しているため、胃カテーテルの先端が喉頭に到達した時点で管を180度回転させて、胃カテーテルの弧を背側に向くようにすることで、管が気管に入るのを防ぎます。その後、外端から息を吹き込みながら慎重に胃カテーテルを伸展させることで、患馬がスムーズに管を嚥下するのを促します。

胃カテーテルが気管に迷入していないことを確認する方法としては、頚部食道(Cervical esophagus)において胃カテーテルを前後に動かし、その動きを左側頚静脈溝部(Left jugular furrow)において視診および触診する手法や、胃カテーテルを充分に深部まで伸展させてから胃内容物の音や匂いを確認する手法が有効で、内視鏡検査(Endoscopy)による確認を要する場合もあります(特に子馬の症例)。胃カテーテルの外端から空気を吸い込んだあと舌先で陰圧を触知する手法は、管が一部分で折れ曲がっていたり尖端が気管壁に接触していた場合には偽陽性を示す可能性があるため、胃カテーテルが食道内にあることを確かめる方法としては信頼性が低いという警鐘が鳴らされています。

胃カテーテルが胃内に到達した時点では、自発的逆流液(Spontaneous reflux)が認められる場合もありますが、通常は、500mL前後の水を注入してから、胃カテーテルの外端を地面に近い高さまで下げることで胃内容物の排出が行われます(胃の最低部はほぼ肘関節の高さ)。この際には、胃カテーテルを急激に10~15cmほど引き出す動作を繰り返すことで、逆流液のスムーズな排出が見られることもあります。胃カテーテルが誤って気管内に位置していた場合には、水注入にともなって重度の咳嗽(Severe coughing)を呈することもありますが、鎮静や抑鬱の度合いによってはその限りではありません。



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経鼻胃カテーテルでの異常所見

正常馬における胃逆流液は通常4~6リットルで、小腸便秘(Small intestinal impaction)や小腸絞扼(Small intestinal strangulation)等では8~11リットルの排出液が見られるのに対して、十二指腸近位空腸炎(Duodenitis-proximal jejunitis)では11~15リットルに達することもあります。胃逆流液の色は、通常は緑~茶色ですが、十二指腸近位空腸炎ではオレンジ~茶色で腐敗臭(Fetid odor)を呈します。胃の除圧後には、疝痛症状の一時的な回復が見られることもあり、十二指腸近位空腸炎では抑鬱症状を示すことを特徴としますが、小腸絞扼では胃排出液の量に関わらず重度の疼痛症状が継続することが一般的です。

通常、10リットル以上の胃逆流液排出が起こった症例では、胃カテーテルを留置することで継続的な胃内容物の排出を行い、胃破裂の予防が試みられることもありますが、胃カテーテル自体による粘膜刺激によって、胃液分泌の促進が起こるという経験則もあるため、経時的な胃逆流液排出の結果に基づいて、胃カテーテル除去のタイミングを的確に判断することが大切です。自発的逆流液が認められた症例においては、胃内容液のpH低下によって、小腸消化液の逆流が示唆される場合もありますが、その信頼性はあまり高くありません。

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