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馬のスローフィーダー:お勧め5選

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馬のスローフィーダーについて

スローフィーダーとは、馬の飼料を入れる袋や桶のうち、ゆっくりと食べることを促す構造になっているものを指します。馬が早食いをすると、異常発酵や食滞を引き起こして、疝痛の原因になる危険性があります。また、飼料を食べるのに時間が掛かるようにすれば、馬が馬房で退屈する時間が減り、悪癖や異常行動の予防にも繋がります。

昔から、飼い桶のなかに石を入れて濃厚飼料の早食いを防ぐ工夫がされてきましたが、近年では、より効率的に、摂食時間を長くするための製品が市販されてきています。しかし、これらのスローフィーダーの中には、使い方を誤ることで弊害を生む可能性も出てきています。ここでは、馬のスローフィーダーのうち、代表的な5種類を比較してみます。

参考資料:
Georgia Guerin. 12 haynets and slow feeders to extend eating time. Horse&Hound, Buyers' guides: Feb21, 2022.
The Best Slow Feeders for Your Horse. Riding Warehouse: Jan22, 2021.
The Best Slow Feeders for Your Horse. Quarry View Building Group: Feb11, 2019.



馬のスローフィーダーで注意すること

一般的には、乾草を床に置くよりも、ヘイネットに入れて吊るすほうが、馬が食べにくくなり、摂食に時間が掛かります。しかし、ヘイネットを吊るす位置が、床よりも極端に高くなると、気道に入ったホコリが排出されにくくなり、気管支炎や肺炎を起こす危険性があります。馬は本来、一日の殆どの時間を、地面や床まで頭を下げる姿勢で生活しているため、高い位置から食べるのを長時間続けるのは、呼吸器系への負担になってしまいます。馬運車で、頭を高く固定されて長時間過ごすと、馬が輸送熱を起こすのも同じ理由です。

スローフィーダーは、小さな穴から乾草を食べる構造をしている場合が多いため、これらの小さな穴などに、馬の肢が引っ掛かってしまい、暴れて怪我をする危険性も指摘されています。袋やネット、箱の形状をしたスローフィーダーがこれに含まれます。また、古典的には、馬の飼い桶に金属の格子をかぶせて、エサを食べにくくする方法もありましたが、硬い金属と常時接触して、前歯が擦り減ってしまう弊害が指摘され、現在では殆ど使われていません(石を入れる場合も同様なリスクあり)。



網目の小さなヘイネット
(写真をクリックで販売元へ)

網のなかに乾草を入れるヘイネットは、網目のサイズが3.8×3.8cm以下であれば、馬がゆっくり食べるのに十分であると言われています。ヘイネットは安価なのが利点ですが、乾草を詰めるのに少し手間が掛かることに加えて、個々のネット繊維が切れやすいのと、床近くに吊るすと蹄鉄が引っ掛かりやすい、という欠点があります。



小窓の空いたヘイバッグ
(写真をクリックで販売元へ)

袋のなかに乾草を入れるヘイバッグは、袋の側面に小窓が空いていて、馬にゆっくりと乾草を食べさせるのに有効です。ヘイネットに比べて、上から乾草を詰めるので手間が掛かりませんが、袋の上部を覆って塞ぐことが出来る構造になっていないと、床近くに吊るしたときに、馬が小窓ではなく上から食べてしまう、という結果になります。強度は高く、ヘイネットより長持ちする場合が多いです。



小穴から食べさせるヘイボール
(写真をクリックで販売元へ)

ヘイボールは、プラスティックの球状容器の中に乾草を入れて、小穴から食べさせる構造になっています。ネットや袋と異なり、容器が転がってくれるため、馬が食べるのに更に長時間を要してくれる、という利点があり、遊戯物として馬の退屈を紛らわしてくれる効能も期待できます。一方で、乾草を詰めるのに手間が掛かり、床置きのため糞尿で汚れやすいという欠点があります。また、内部に入れられる乾草の量も、ネットや袋よりは少ないです。



格子越しに食べさせるヘイボックス
(写真をクリックで販売元へ)

ヘイボックスは、乾草を入れる箱の上部をプラスティックの格子で覆うことで、馬にゆっくりと乾草を食べさせる構造になっています。容器が箱なので、飼料を詰め込むのが容易で、また、乾草と一緒に濃厚飼料も入れることが出来て、細かい飼料片が敷料に混ざらない、という利点があります。ただ、床置きなので、馬が肢を突っ込んだり、糞尿が混入しやすいという欠点があります。他のタイプと異なり、放牧場などの野外でも使い易いと言われています。



底に凹凸がある飼い桶
(写真をクリックで販売元へ)

飼い桶の底を、凹凸のある構造にして、馬が早食いをしにくい構造になっており、乾草ではなく、主に濃厚飼料をゆっくり食べさせる目的で使用されます。通常の飼い桶と同じように使えるため、給餌のときの手間にはなりませんが、デコボコした底部分の洗浄が少し面倒なのがデメリットです。なお、凹凸の高さ以上に飼料を入れてしまうと、あまり効果が得られません。



スローフィーダーに関して重要なこと

以上の製品以外にも、様々な種類や形状のスローフィーダーが考案されているため、個々の馬に合ったものを選択する必要があります。馬の性格によっては、スローフィーダーを使うと食欲を示さなくなったり、常に不機嫌になる場合もあります。また、口唇を器用に使える馬では、スローフィーダーを使用しても、完食するまでの時間が殆ど変化しないケースもありますので、効能が出ているかを確認するのも大切です。

何よりも、馬にとって望ましい飼養管理は、飼い付けの回数を出来るだけ増やして、一回当たりの量を減らしてあげることに他なりません。もし、早食いをして疝痛を繰り返してしまう馬や、熊癖や旋回癖になってしまった馬がいるのであれば、朝昼夕の飼い付け量を減らしつつ、数時間おきに乾草を投げ入れてあげる等の管理法がベストであり、スローフィーダーはあくまで補助的な用途に過ぎない、という理解が大事なのではないでしょうか。

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