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馬の落鉄を減らす5つの対策

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ホースマンのなかには、自馬が頻繁に落鉄して苦労されている方もいらっしゃるかもしれません。

馬の蹄鉄が外れてしまうと、単に不便なだけではなく、落鉄した馬の蹄にダメージを与えてしまうこと、および、落ちた蹄鉄を他の馬が踏んでしまって怪我をすることもあり得ます。このため、落鉄を繰り返す馬に対しては、原因を予測して、可能な予防対策を講じることが大切です。

馬の蹄鉄が外れてしまう原因は、①前肢蹄の鉄尾を後肢蹄が踏んでしまうこと、および、②様々な要因で釘が緩んでしまった結果、蹄反回時に抜け落ちること、という2つが主に挙げられます。ここでは、これらの原因を踏まえながら、馬の落鉄を減らしていく5つの方策をまとめてみました。

参考資料:
Joanne Meszoly. How to keep your horse from losing his shoes. Equus, Horse Care, Hoof Care, Apr18, 2022.
YourHorse. 6 things you can do to help prevent your horse losing a shoe. Horse Care, Hoof Care, Feb6, 2022.
Firn Hyde. “My Horse Keeps Losing Shoes!” – Top 5 Reasons for Lost Shoes. Equiniction, Health, Hoof Care, Jun7, 2018.
HeelsDown. Shoe-Pulling Prevention 101, Presented by Wahl. Apr20, 2018.
Professional Equine Grooms. Help your horse keep his shoes on!



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落鉄の対策1:装蹄方法の変更

頻繁に落鉄を繰り返す馬がいる場合には、まず、装蹄師に相談して、対応策を指導して頂くことが重要です。落鉄を防ぐ方法としては、鉄尾を短くする、釘を増やす、横鉄唇の蹄鉄に変更する(蹄鉄が内外方向に安定して釘が緩みにくくなる)、上弯蹄鉄に変更する(蹄反回を向上させる)、蹄鉄辺縁をグラインダーで丸みをつける、等が挙げられます。勿論、此処の蹄の形状や特性によっては、これらの方策は不適切な場合もあります。また、海外では、蹄鉄の代わりとして、馬の蹄に履かせる“靴”も市販されています。



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落鉄の対策2:ワンコを装着させる

馬の繋ぎにワンコというゴム製ブーツを装着させると、後肢が前肢の鉄尾を踏みにくくなり、落鉄を減らせると考えられます。また、原因①が起こるほどオーバーリーチする馬では、後肢が前肢の蹄球に外傷を負わせる可能性もありますので、それを予防できるのもメリットです。さらに、頻繁に落鉄をする馬にワンコ装着することで、落鉄の原因が①と②のどちらなのかを推測する一助になることもあります。



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落鉄の対策3:運動内容に関して気をつけること

一般的に、障害飛越や襲歩をする時、および、強めの運動をして馬が疲労した時には、オーバーリーチによる落鉄を起こしやすい(原因①による)と言われていますので、これらの運動を課す日にはワンコを装着させるのも一案です。また、降雨後のぬかるんだ馬場では、蹄の反回が遅れて(蹄が砂の深部まで沈み込むため)、鉄尾を踏んでしまう確率も上がって、落鉄のリスクが増すと言われています。さらに、上り坂での運動(野外走行や外乗など)では、必然的に、前肢の踏着位置が通常より後方になるため、鉄尾を踏みやすいことが知られています。加えて、放牧したときに走り回ってしまう馬では、釘が緩むリスクも増えるため、放牧するのは小さなパドックに限定するのも良いかもしれません。



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落鉄の対策4:適切な蹄の管理をおこなう

蹄の管理の失宜によって、蹄壁が乾燥しすぎたり、逆に湿潤しすぎる事で、蹄壁がもろくなると、結果的に、釘が緩んでいき、落鉄に至るとも言われています(原因②による)。この対策としては、蹄を清潔に保つこと、敷料を衛生的に維持すること、必要に応じて蹄油を塗布すること、毎朝毎夕の裏掘りを欠かさないこと、蹄質を改善させる飼養管理を行なうこと、蹄に良いサプリメントを飼料添加すること、などが挙げられます。



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落鉄の対策5:日常生活のなかで気をつけること

馬の日常性格においても、蹄に負荷が掛かる要因を減らす試みは可能です。たとえば、飼い付け時間になると、エサを欲しがって激しく前掻きする馬は、蹄鉄で床面を叩くことで、釘が緩んでしまうと推測されます。また、熊癖や旋回癖のある馬も、蹄壁への歪みが増えて、釘が緩むことに繋がると考えられます。そのような馬に対しては、一番始めに飼い付けをしたり、スローフィーダーを使うことで馬房にいる時に退屈させない、などの方策が考えられます。また、馬がハエを負うために前後肢を振り上げる動作も、毎日、何百回も繰り返すことで、釘が緩んでしまう要因になると言われています。この場合には、お腹の下を覆うタイプの薄馬着を着させたり、肢端にハエが停まりにくくする馬用ソックスを履かせたり、もしくは、定期的にハエ除けスプレーを塗布するなどが有効であるかもしれません。



以上のように、馬の落鉄を減らしていく方策は、いずれも試行錯誤を繰り返して、各馬に合ったものを見つけていく努力を要すると言えます。「蹄なくして馬なし」という言葉もある通り、蹄を守る対策に根気強く取り組んでいくことで、馬たちの健康を向上させていけるのではないでしょうか。

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