馬の気性を落ち着かせるサプリ(2022年版)
馬の飼養管理 - 2022年08月10日 (水)

馬の気性を落ち着かせるサプリメントに関して疑問を持たれているホースマンも多いのかもしれません。ここでは、そのようなサプリメントを比較して紹介します。
馬の気性を落ち着かせ、性格を温和にする成分としては、マグネシウム、L-トリプトファン、ビタミンB1の3つが重要だと言われています。マグネシウムは神経伝達物質であるため、不足すると馬の性格が神経質で短気になると言われており、飼料中の含有量が低い場合も多いことが知られています。また、L-トリプトファンは必須アミノ酸(体内で合成できない)の一つで、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンを合成するのに寄与します。そして、ビタミンB1(別名:チアミン)は、炭水化物や脂肪の代謝に関与しており、不足するとストレスを感じやすくなると考えられています。その他、幾つかのハーブ成分などにも、馬の気性を落ち着かせる効能があると言われています。
参考資料:
Janice L Holland. Taking the Edge Off: Calming Supplements for Horses. The Horse, Topics, Horse Care, Nutrition, Behavior: Apr3, 2021
B-グッドシロップ
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包装容量:20日分
小売価格:14,300円
一日当たり:約715円
馬を落ち着かせる効果を謳ったサプリメントで、一日当たりの成分量は、マグネシウムが100mg、L-トリプトファンが2,000mg、ビタミンB1が150mgとなっています。国内販売品である点は安心で、運動後や輸送等でイレ込んでしまう馬に効果が高く、馴致の際にもよく使われると言われています。なお、上記価格には送料は含まれていません。
エクイストロ・エクイライザー
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包装容量:25日分
小売価格:非公開
一日当たり:非公開
馬の神経系の健康維持を謳ったサプリメントで、一日当たりの成分量は、マグネシウムが2,800mg、L-トリプトファンが5,000mg、ビタミンB1が375mgとなっています。国内販売品である点は安心で、また、他製品よりもL-トリプトファン含有量が高いため、この成分の不足が気性の原因である個体には有用だと考えられます。
フォーミュラ707・カーミング
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包装容量:80日分
小売価格:35,683円
一日当たり:約446円
馬の不安を取り除いて集中力を増す効果を謳ったサプリメントで、一日当たりの成分量は、マグネシウムが7,500mg、L-トリプトファンが125mg、ビタミンB1が2,000mgとなっています。他製品に比べて、マグネシウムとビタミンB1の両方の含有量が高く、これらの成分の不足が気性の原因である個体には有用だと考えられます。販売元は海外ですが、日本への郵送可で、上記価格は送料も含まれています。
カーム・ウェルファーズ
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包装容量:60日分
小売価格:12,002円
一日当たり:約200円
馬の神経機能を向上させ行動のバランスを正すという効果を謳ったサプリメントで、一日当たりの成分量は、マグネシウムが1,000mg、L-トリプトファンが125mg、ビタミンB1が1,000mgとなっています。リンゴ味で嗜好性が良いと言われており、他製品よりも安価です。販売元は海外ですが、日本への郵送可で、上記価格は送料も含まれています。
グローバルハーブ・リグカーム
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包装容量:30日分
小売価格:10,796円
一日当たり:約360円
馬の興奮しやすい性格を抑える効果を謳ったサプリメントで、特に、牡馬や騙馬が牝馬に興味を示すのを抑制すると言われています。成分はマグネシウムとハーブ成分が主で、マグネシウムやL-トリプトファンは含有しないようです(成分量は未公開)。販売元は海外ですが、日本への郵送可で、上記価格は送料も含まれています。
馬の気性を落ち着かせるサプリに関して重要なこと
馬の気性や性格には、様々な要因が関与しています。たとえ、気性が神経質で、怒りっぽい性格に見える馬でも、少し放牧時間を増やしたり、厩舎内で馬房の位置を変えるなど、僅かな飼養管理の変化や改善によって、大人しくて温和な馬に変わることもあります。また、健康上の問題(胃潰瘍や慢性腰痛など)を抱えていることで、馬が短気になってしまうケースもあります。そのような馬たちには、どんなにサプリメントを与えても、気性の難しさを改善する効能は期待しにくいと予測されます。
ですので、馬の気性や性格の問題を解決するには、飼養管理の工夫をこらして、病気の有無を検査し、さらに、もともとの飼料の内容を精査することが不可欠だと考えられます。そういう意味では、気性を落ち着かせるサプリメントは、あくまで補助的な位置づけに過ぎないという認識が大切だと思います。
注意事項
一般的に、サプリメントは薬品と異なり、健康維持の効能のみを有し、病気の治療効果は示されていないため、獣医師の処方箋が不要であり、また、製品認可のときの科学的エビデンスも限定的であるという点に注意が必要です。このため、各馬の健康状態について獣医師の診断を仰ぎ、医学的な加療は不要であることを確認した上で、サプリの選別および飼料添加方針について指導を受けることが推奨されます。
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