馬の救急箱に準備するものリスト
馬の飼養管理 - 2022年08月14日 (日)

馬の救急箱について
牧場や乗馬クラブでは、急な馬の怪我や病気に備えて、救急箱に色々な物品が準備されていると思います。ここでは、そのような救急箱に準備しておく物のリストの一例を紹介します。基本的に、海外の馬関連情報源を参照していますが(下記リンク)、日本において獣医師の処方が必要となる物品や薬品は別記又は省略しています。また、あくまで一つの例ですので、個々の牧場やクラブでの病気の発生状況を見て、必要な物も適宜に追加するのが良いと思います。
参考資料:
Loving NS. Barn Emergency Kit Essentials. Horse Illustrated, Horse Care: Sep26, 2017.
馬の救急箱に最低限は準備しておくものリスト
●救急の電話番号一覧:獣医師、装蹄師、保険会社などの連絡先
●馬の応急処置の本:(英語では良い本が出ています)
●動物用体温計:熱発のチェックに使います。
●聴診器:心拍数や腸蠕動のチェックに使います。
●懐中電灯:暗い馬房内や内股など見にくい箇所を照らすのに使います。
●鉗子:トゲや異物を除去するのに使います。
●医療用ハサミ:キズ周囲の毛刈りや包帯のカットに使います。
●鼻ネジ:馬を保定するときに使います。

馬の外傷消毒のために準備しておくものリスト
●消毒液:クロールヘキシジン溶液(濃度5%以上)またはイソジン溶液(濃度10%以上)
●消毒用エタノール:傷口を消毒するときに使います。
●医療用ガーゼ:キズの消毒や血液拭き取りに使います。
●医療用グローブ:処置のときに装着すると病原体に触れないため安全です。
●抗生物質含有の軟膏:傷口の殺菌に使います。獣医師の処方が必要です。

馬に包帯を巻くために準備しておくものリスト
●張り付かないガーゼ:傷口に直接触れる場合に使います。
●包帯用ハサミ:馬を傷付けずに包帯を切るのに役立ちます。
●大人用オムツ:漿液の多い傷に包帯を巻くときの中身として使います。
●ペットシーツ:漿液の少ない傷に包帯を巻くときの中身として使います。
●ヴェトラップ:包帯の外巻きとして使います(幅10cmのもの推奨)。
●エラスチコン:包帯の外巻きとして使います(幅7.5/10cmのもの推奨)。
●ダクトテープ:蹄に包帯を巻くときに使います。
●ハーフマズル:包帯を咬み破ってしまう馬に装着させます。

馬の疝痛のために準備しておくものリスト
●プラスチックマズル:疝痛馬に摂食制限するときに装着させる口カゴです。
●電解質補給サプリメント:疝痛馬に用手飲水させるときに添加します。
●バナミン注射液またはペースト:疝痛馬の疼痛管理に使いますが、必ず獣医師の指示に従って投与することが必要です。過剰に投与すると、疝痛の病態悪化の判断が遅れる結果につながる危険があります。獣医師の処方が必要です。
馬の眼のキズや腫れのために準備しておくものリスト
●滅菌生理食塩水:眼の洗浄に使います。獣医師の処方が必要です。
●抗生物質の眼軟膏:眼の殺菌に使います。獣医師の処方が必要です。
●治療用メンコ:眼を痒がる馬に装着させる眼帯です。

英国でのボーイスカウト運動の創立者であるベーデン=パウエル卿は、「スカウトは決して驚かない。どんな不意の出来事に対しても、どう対処すべきかの準備をしているからだ。」という言葉を残しています。ホースマンにも役立つ理念であると思いますし、馬の怪我や病気に備えをしておくことも、パウエル卿の方針に近づくことなのかもしれません。
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