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盲導“馬”の普及と課題

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介助動物としてのミニチュアホースが話題になっています。

一般的に、馬と言えば競走馬のレースや、乗馬の競技を思い浮かべますし、障害者のための介助動物といえば、盲導犬などのイヌを思い浮かべることが多いのかもしれません。しかし、2019年に、アメリカの運輸省は、盲導“馬”として使用されているミニチュアホースが、飛行機に搭乗することを許可すると発表しました。その結果、実際にミニチュアホースを連れて空の旅をエンジョイする事象も見られ、テレビのトークショーでも取り上げられるなど、世間での認知度も高まってきています。

参考資料:
Katie Navarra. Equine Service Animals Take Flight. Miniature Horses have taken to the skies as equine service animals to support their handlers. Horse Illustrated: May15, 2022.
Luke Winkie. What it’s like to take a mini horse on an airplane. It’s now legal to fly with a service horse in the US. Mona Ramouni is one of the few people who does it. VOX, The Goods: Aug30, 2019.
Jon Kipper. Bellevue woman copes with disability using a mini-horse as service animal. A woman in Bellevue has a variety of ailments. To help with them she uses a mini-horse as a service animal, drawing attention everywhere she goes. KMTV News Now Omaha: Feb8, 2019.

先導馬協会(Guide Horse Foundation)によれば、盲導馬の長所としては、馬は犬よりも寿命が長く、マナーが良くて、スタミナもあり、視野の広さや視覚に優れている事が上げられており、また、犬アレルギーの人にも応用できる利点もあります。全ての介助動物は、米国の身体障害者法(American with Disabilities Act)の規定を順守しなければならず、それには、介助動物は常に主人のコントロール下の置かれなくてはいけないこと、常にハーネスを装着すること、および、トイレの躾けが出来ていること、などが含まれています。

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しかし、介助動物として馬を用いること自体に、社会的な問題が無いかは慎重に検討すべきだと感じます。まず、馬は犬よりも驚きやすい動物なので、自動車事故などの危難が迫った時には、その場から逃げ出そうとして、障害者に危険を及ぼす可能性があるのかもしれません。また、犬と異なり、馬は群れで暮らす習性があるので、介助動物として、常に一人のヒトと屋内で生活を共にすることが、その馬に精神的な負担をかけて、ウェルフェアに反する結果をもたらすかを評価すべきと感じます。

一般的に馬は、トイレを躾けるのが非常に難しい動物であることが知られています。実は、古来からホースマンは、馬房以外の場所で排泄させて厩舎管理を楽にしようと調教を試みてきましたが、あまり成功しておらず、調教できた馬でも、100%常にそれを守らせるのは困難だと言われています。介助動物としてのミニチュアホースが、万が一に公共の場や飛行機の中などで排便してしまった場合、公共の福祉に悪影響を与える度合いは、犬が糞をしてしまうよりも大きいのかもしれません。

さらに、草食動物である馬は、同じくらいの体重の大型犬と比べても、食べるエサの量や飲水量が、相対的に多くなると言えます。エサにしても、馬に乾草を与える際には、犬にドッグフードを与えるよりも、ホコリが多くなりがちだと思います。加えて、介助動物として仕事をしている犬がお腹を壊した場合、嘔吐してしまえば済みますが、ミニチュアホースが仕事中に疝痛になると、疼痛に耐えきれずに、介助作業を続けられなくなる、という可能性は十分に考えられます。

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YouTube: Miniature Guide Horses for the Blind (Getty Images TV)

視覚障害者の助けとして、馬を犬と同じように使うには、まだまだ解決しなくてはいけない点も多いと思いますが、盲導馬のための調教法が発展していく事で、馬が介助動物として人間をサポートする時代が来るようになるのかもしれません。

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